多額の現預金、上場株、自社株などの金融資産を相続する
相続において、お金に直結しやすい金融資産や動産の多くが相続財産となり、申告・遺産分割の対象となります。
現金・預金などのお金は誰もが持っているものであるため必ず申告します。
生命保険や死亡退職金などについても金銭的価値があるため現預金と同様です。
また、上場株式・自社株・投資信託・公社債などの債権等を保有しているしている場合も評価をして申告する必要があります。
一般の動産は、主に美術品などの骨董品、自家用車、ゴールド・プラチナなどの金地金 等がありますが、これらも鑑定・相場などを通じて評価したうえで申告する必要があります。
相続税における税務調査で申告漏れなどが発覚する場合も、8割が預貯金や株式などの金融資産に対するものであるため、どの金融資産が亡くなられた方の財産であるか漏れなく把握しておくことが望ましいです。
相続財産に現金、預貯金がある
現金・預貯金を所有している場合は、もれなく申告する必要があります。
現金については手許現金である財布の中身から自宅金庫や貸金庫にあるタンス預金まで把握するようにしてください。
預貯金については銀行の一般口座にある貯金や定期預金などが対象になるため通帳やキャッシュカードを通じて金融機関への残高照会等で把握する必要があります。
被相続人が死亡した時点で保有していない財産についても課税・分割対象になるものがあります、代表的なものは以下の通りです。
① 被相続人が相続人名義で貯金していた名義預金
② 被相続人が亡くなったことによって相続人の財産となるみなし相続財産<遺言による金銭の贈与、死亡保険の受取金など>
③ 被相続人から死亡前3年以内に相続人が贈与により取得した金銭<令和6年より段階的に7年へ延長>
④ 相続時精算課税の適用を受ける贈与財産
これらは亡くなられた人の財産として課税されるケースや遺産分割協議でトラブルになるケースもありますので注意してください。
相続財産に株式等がある
上場株式・自社株・投資信託・公社債などの財産権を所有している場合は、それらを評価して申告する必要があります。
これらは有価証券の有無、証券会社の明細、一般口座や信託口座への配当金情報など通じて証券会社等への照会等で把握する必要があります。
一般的に取引することのできるものは被相続人が亡くなられた日の終値や終値月平均などで評価することができます。
ただし事業を営んでいた場合は自社株を所有しているケースも多く、それらは会社の純資産などから評価することになります。
株式等を一般口座で取引している場合や配当所得がある場合などは相続税の申告の前に準確定申告が必要になるケースが多いので早めに準備されることをお勧めします。
相続財産に生命保険、死亡退職金等がある
死亡保険金・死亡退職金等がある場合は、もれなく申告する必要があります。
死亡保険金については生命保険会社へ、死亡退職金については勤務先の企業へそれぞれ請求手続きを取ります。
生命保険の加入の有無が分からない場合でも、保険料の支払い履歴や契約書により把握できることが多いです。
死亡保険金・死亡退職金のような亡くなられたことを事由に発生する財産は非課税枠が設けられています。
一方で、家族・他人が被保険者や受取人になっている生命保険等については相続税ではなく贈与税や所得税等の課税対象になることもあります。
相続税がかかる財産とかからない財産
亡くなられた人が所有している換金価値のあるものは、基本的にすべて相続財産となり、1つ1つ評価して申告・分割する必要があります。
ただし一般的な家具などは1つ1つ評価・分割するのではなく家財一式としてまとめてしまっても問題ありません。
相続税がかかる代表的な財産と相続税がかからない代表的な財産は、以下の通りです。
相続税がかかる財産
① 現金
財布の中身、自宅金庫や貸金庫にあるタンス預金など
② 預貯金
銀行・貯金口座の預金、定期預金、相続人名義で貯金していた名義預金など
③ 不動産
土地や建物など
④ 株式・投資信託
上場株式、非上場株式、投資信託、公社債など
⑤ 金地金等
ゴールド、貴金属、骨董品、美術品など
⑥ 家庭用財産
家財一式、自動車など
⑦ 債権等
貸付金、未収入金、ゴルフ会員権など
⑧ 死亡前3年以内に相続人が贈与により取得した財産<令和6年より段階的に7年へ延長>
⑨ 相続時精算課税の適用を受ける贈与財産
相続税がかからない財産、控除できるもの
① 墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物
② 死亡保険金・死亡退職金等の非課税枠
③ 債務等
借入金、未払金など
④ 入院・治療費
立て替え分、未払分など
⑤ 葬式費用
本葬・通夜の費用、お寺への支払い、火葬・納骨の費用など
⑥ 寄附財産
公益法人等に寄附した財産など