相続の準備は早いほどいい

 円満な相続を達成する

 大きな財産を次世代に譲り渡すことはとても素晴らしく誇らしいことで、また一方では多額の財産ゆえの悩みもあるかと思われます。

 まずは、それらの財産や家族の意思を円満かつ円滑に譲り渡す・譲り受けることが何より大事でしょう。

 そのためには、相続に関わる全ての人が話し合いすることが一番の準備です。

 ご家族が亡くなった後では皆で話をすることはできませんので、予定被相続人・予定相続人がお互いに話し合うことを提案して、その話し合いを通じて相続に対する準備をして理解を深めてみてはいかがでしょうか。

 

 相続税を減らすことができる

 大きな財産を譲り渡す人・譲り受ける人が一番心配されることは相続税がかかることでしょう。

 相続税は相続が発生した後の申告方法により変わる部分もありますが、相続発生に伴って確定した事象と適正な申告をすることは変えることができないため、相続税を減らすという点では限界があります。

 しかし生前より、それも年月をかけて将来発生する相続について準備していくことで、相続税を大幅に減らすことが可能なケースが多いです。

 「配偶者と」「子と」「親戚と」「生前に」「元気なうちに」「長い期間」「少しずつ」 準備を進めることが、税金面だけでなく円満な相続を達成する面でも大切だと考えます。

 

 

 相続税対策 = できるだけ多くの必要財産を残すこと

 節税効果は人一倍

 相続税は累進課税になっており、財産が多い人ほど大きな税率が適用されるため不利な制度となっています。

 しかし裏を返せば、相続税率をかける基となる相続財産を減らすことができれば、その効果は大きな税率分だけ相続税が安くなるという大きな節税効果の裏付けでもあります。

 つまり全ての人が同じ金額の相続財産を減らすことができたとしたら、財産が多い人ほど大きな節税効果が得られるということです。

 具体的には法定相続人の基礎控除600万円や生命保険の非課税限度枠500万円、贈与の基礎控除110万円など相続財産の大小にかかわらず控除額が決まっているものがあり、これらは非常に節税効果の高い控除ですので必ず活用を検討してください。

 

 相続財産は減らすか圧縮する

 相続税は相続財産に税率をかけて決定することから、相続税対策では予定相続財産を減らしたり価値を圧縮させる方法をとります。

 しかし、予定相続財産は被相続人が亡くなった時点で相続財産としてその価値が確定するため生前しか行うことができません。

 このように相続税対策では生前準備が大事で、早いうちに準備すればするほど節税効果が大きくなるケースが多いです。

 

 相続財産を減らす代表的な方法としては、生前に財産を贈与するなど自分以外の親族へ財産を移転する方法があります。

 贈与を行うことによる贈与税は相続が起こった際の相続税より大きな負担率になりますが、控除や特例などを活用したりすることで親族全体の納税額を少なくすることができます。

 他にも賃貸不動産や配当のある株式など収入を生み出していく財産を早期贈与することで相続財産を減らすこともできます。

 

 相続財産の価値を圧縮させる代表的な方法としては、生前に財産の組み換えを行う方法があります。

 例として生前に現預金を不動産に変えるだけで相続税は大きく減ることになります。

 他にも相続税対策では控除を増やしたり適切な申告をするなど様々な方法がありますが、一番の相続税対策となるのは生前にしかできない予定相続財産を減らす・圧縮する方法でしょう。

 

 不要な財産は残さない

 多額の財産を所有している人は、必然的にその財産の数や種類も多くなっていきます。

 不要な財産を整理することは、相続発生後に相続人が行うべき手続きの面で非常に簡便になります。

 実際に不要な財産として挙げられるものとして圧倒的に多いものは土地や建物などの不動産です。

 相続しても誰も活用することのない土地建物などは維持するにしても処分するにしてもお金や手間がかかりますし、遠く離れた場所にある不動産や幾重にも細かく分かれた土地では管理も移転登記も大変です。

 収入を生み出さない不動産ばかりが多ければ、相続税を払うキャッシュを確保することも一苦労でしょう。

 近年では墓を管理できる人も減ってきている一方で、墓じまいすることに抵抗があるケースも多くあるようです。

 相続は急に起こってしまうものでもありますので、いつ相続が発生しても困ることなくスムーズに手続きが進むよう準備していくことが望ましいです。

 

 相続対策では相続税の節税としてアパートを建てたり高級マンションを購入するなど相続税を下げる方法などもありますが、節税することを気にするあまり次世代が管理・使用できない財産を増やすことがないよう気をつけてください。

 

 相続財産を増やすことも相続税対策になる

 相続税対策というと相続税の課税基礎となる予定相続財産を減らすことなどに注視しがちですが、相続税の納付に困らないくらい又は将来支払う相続税以上に今ある財産を増やしていくということも立派な相続対策であると考えます。

 予定被相続人としては多くの財産を残せること、予定相続人としては多くの財産を受け継ぎができることが一番です。

 また高額な相続税を納付するということは、財産を譲り渡すご家族がそれだけ立派な資産形成を行ってきたという証拠であり、誇らしいことでしょう。

 相続税対策の中には相続財産を運用しながら相続税を減らすことができる方法もありますので、財産シミュレーションを行ったうえで検討してください。