アパート、マンションなど賃貸物件を相続する

 相続財産のなかでも不動産は財産価値の高いものであり、特にアパート・マンション・オフィスなど賃貸借物件が建っている宅地は相続税に大きく影響します。

 主な土地の種類(地目)として、宅地・田・畑・山林・原野・雑種地に分類されており、不動産における相続税の計算上の価値(評価額)は、
 評価額が高い順に 宅地 > 雑種地 > 畑 > 田 > 原野 > 山林 となる場合が多いです。

 アパート、マンションなどの居住用不動産は相続財産の中でも大きい割合を占める財産であることが多く、適切に評価することで大きな節税効果をもたらしますが、その評価方法は複雑であり十人十色の評価価格になるため、最も税理士の実力差が出る項目です。

 不動産の財産評価額が変わるということは相続税の総額(節税できる金額)が変わることですので、特に価値の高い不動産がある場合は土地評価に強い専門家に依頼することをお勧めします。

 

 相続財産に土地・建物 共に自己所有のアパート等がある

 自己所有のアパート・マンション・オフィス等で土地・建物を共に所有している場合は、土地・建物を評価して申告する必要があります。

 建物の評価は、固定資産税評価額を参考にします。

 貸し付けている建物の場合は借家権割合(3割程度)を評価額から減額することができます。

 土地の評価は、その土地の立地や形などによって専門的で複雑な計算を要します。

 賃貸収入がある場合は相続税の申告の前に準確定申告が必要になるケースが多いので早めに準備されることをお勧めします。

 

 アパート・マンション・オフィスなどを相続人が引き続ぐケースでは、小規模宅地等の特例という制度が使える可能性があります。

 小規模宅地等の特例は、貸し付けている物件の対象土地の相続税評価額が5割引きの金額になってしまうという、相続の特例の中でも非常に大きな節税効果がある制度になります。

 ただし、実際に相続した人が事業の引継ぎ・保有をすることや申告要件があることなど適用するための要件が細かく定められているため、必ずご確認ください。

 

 相続財産に他人名義の土地に自己所有のアパート等がある

 自己所有のアパート・マンション・オフィス等で他人から借りている土地に建物が建っている場合は、建物・土地の権利を評価して申告する必要があります。

 建物の評価は、固定資産税評価額を参考にします。

 貸し付けている建物の場合は借家権割合(3割程度)を評価額から減額することができます。

 土地の権利は、借地権や定期借地権の設定がある場合には相続財産として評価する必要があります。

 一方で、他人名義の土地は相続財産にあたらないため申告・評価をする必要はありません。

 賃貸収入がある場合は相続税の申告の前に準確定申告が必要になるケースが多いので早めに準備されることをお勧めします。

 

 相続財産に分譲マンション等がある

 自己所有の分譲マンションの場合は、土地・建物・土地の権利を評価して申告する必要があります。

 建物の評価は、固定資産税評価額を参考にします。

 分譲マンションを貸し付けている場合は借家権割合(3割程度)を評価額から減額することができます。

 土地の評価は、その土地の立地や形などによって専門的で複雑な計算を要します。

 土地の権利については定期借地権が設定されているケースが多く、相続財産として申告・評価する必要があります。

 

 居住している分譲マンションを相続人が引き続ぐケースでは、小規模宅地等の特例という制度が使える可能性があります。

 小規模宅地等の特例は、対象土地の相続税評価額が8割引きの金額になってしまうという、相続の特例の中でも非常に大きな節税効果がある制度になります。

 ただし、実際に相続した人が居住することや事業の引継ぎ・保有・申告要件があることなど適用するための要件が細かく定められているため、必ずご確認ください。

 

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