現金・預貯金を所有している場合はもれなく申告する必要がありますが、故人名義ではない財産についても課税・分割対象になるものがあります。

 その中でも名義預金と死亡前3年以内に相続人が贈与により取得した現預金が申告漏れとなるケースが多いので注意してください。

他人名義の預貯金がある

 亡くなられた人が相続人名義等で貯金していた現預金は名義預金と呼ばれます。

 名義預金は被相続人とは異なる名義口座であるものの自ら所有している金銭を口座に預金していたという扱いになるため、相続財産に含まれ申告する必要があります。

 その預金が被相続人のもので相続財産に含まれるか、名義人のもので相続財産に含まれないかの判断は以下の点を考慮します。

・口座、預金自体が自らのものであることを認知していたか
・自らが管理していたか、自由に使えるお金だったか
・贈与の要件を満たしているか

 ただし、名義預金ではなく相続財産に含まれない場合は被相続人から相続人等へ贈与があったと考えられるため、相続税がかからず贈与税がかかるケースもあります。

 

 3年以内に贈与した現預金がある<令和6年より段階的に7年へ延長>

 相続対策として子や孫に多額の現預金を贈与することは多くありますが、相続税が発生することを大きく回避するために被相続人が亡くなる直前に贈与による財産調整してしまうことを未然に防ぐため、死亡前3年以内に相続人が贈与により取得した現預金は相続財産に含まれ申告する必要があります。

 現在は死亡前3年以内の贈与が対象ですが死亡前7年以内の贈与に延長される予定です。
 この税制改正は令和6年1月1日以後に贈与により取得した財産から適用されるため、令和9年1月1日以後に発生する相続が対象となります。

 ただし、「相続人」が贈与により取得した財産ということで、相続人以外の方へ贈与した場合は相続財産に含まれません。

 ただし贈与の金額によっては贈与税がかかることもあり、遺言による遺贈などがあるケースでは相続人が変わる場合もあります。

 

故人の名義預金